はじめての低血糖2009/03/06

2007年7月22日(日)
まだ血糖値はたまに300を超えることもあったが、平均して200程度に落ち着いてきて極度の脱水症状もなくなり、インスリン自己注射にも慣れたということで、当初の予定通り10日で退院することができた私は、翌日の朝から、入院のために中断していた庭のアーチ作りを、早速再開した。
奥さんは「少し休んだら」と、退院したばかりの私の身体を気遣ってくれたが、10日間も病院のベッドでだらだらしていたため(軽い体操や病院内の散歩くらいはしていたが・・・)、何だかとっても動きたい気分になって、近所の迷惑(?)もお構いなしに、休日の午前中からトンテンカンと日曜大工に精を出していた。

途中、昼食を挟んで、午後3時頃まで作業を続け、アーチの各パーツの形が出来上がり、後は組み立てて庭に立てるだけと言うところで、日差しも強く暑くなってきたので一休み・・・
冷たいお茶を飲んで横になっていたところ、何だか急に動悸が激しくなってきて、身体中に冷や汗が沸いてきた。
一瞬、何事が起きたのか見当がつかなかったが、退院時に主治医が話していた「低血糖」と言う言葉が、フト頭に浮かんできた。
“ひょっとして、これが・・・”
「おかしいなと思ったら、血糖を測定して、その時の血糖値に応じて糖分を採ってください」
今なら、自分の低血糖時の症状がある程度把握できるので、わざわざ血糖値を測定したりせずに、直ぐにブドウ糖を飲むのだが、この時はまだ、これが本当に低血糖の症状なのか分からなかったので、医者の指示通りに血糖を測定しようと、血糖測定器に手を伸ばそうとするのだが、身体が思うように動かない。
どうにかこうにか起き上がって、穿刺針と測定器をセットする手も震えている。
眩暈がして、頭から血の気が引いていくのが感じられる。
看護士からは「アルコール綿で消毒してから針を刺して下さい」なんて指導されたけど、それどころじゃない。
頭では慌てているつもりなのだが、身体の動きは、まるでスローモーションになった様なもどかしさに、イライラしながら、それでも何とか測定チップに指先の血を吸引させて・・・

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傍で心配そうに見ていた奥さんに、ペットシュガーの袋を持ってきてもらい、立て続けに4本分(24g)を口に含むと、テーブルの上に置きっ放しになっていたペットボトルのお茶で流し込む。
それから暫く横になっていると、動悸と手の震えが収まってきて、30分後にもう一度血糖測定したら100をちょっと超えていた。
入院中から160以下になったことがなかった私にとって、初めての低血糖は、今思い出しても本当に恐ろしい体験だった。

それから暫くは、ペットシュガーを持ち歩いていたが、近所のドラッグストアで固形のブドウ糖を見つけて、それを使うようになった。
しかし、固形のものはポケットに入れると意外とかさばるし、ポケットの中で砕けてしまうと、震える手で袋を開けた時にこぼれてしまうし、口の中で直ぐに溶けてくれないと、低血糖時の緊急処置にはあまり向かないようだ。
で、いろいろ探した結果、今はスティックタイプの粉末ブドウ糖(株式会社イーエス、ブドウ糖100)を使うようにしている。

こうして、私のお出かけ必需品に、ブドウ糖が加わった。

「インスリンとブドウ糖」
私の命を支えてくれるふたつのアイテムを背負って、また、山に登ろう!!