絶好の登山日和2013/02/16

 関東地方に雨を降らせた低気圧が東に抜け、移動性高気圧が日本をスッポリと覆う今日は、絶好の登山日和。
 予想天気図を見ると、午前中までは西高東低の気圧配置で東海上の等圧線の幅も狭いので、風が強そうだが、昼頃からは風も止んできそうだ・・・
 昨日午後から、左脇腹(第10肋骨付近)に原因不明の鈍痛が続いていて、何となく気分が冴えないが、こんな絶好の登山日和の一日を、ダラダラゴロゴロして過ごすのは、あまりにももったいない。

 朝食後、しばらく、炬燵でウトウトしていたが、窓から見える青空に、心がザワザワしてくる。

 先週奥多摩湖で聞いたところでは、御前山周辺の雪の状態は、1月の時のような深雪はないと云うことだったし、昨日もそれほど降った様子もない。
 だったら、先月、予想外の大雪のために取りこぼしになっている御前山に行ってみよう。
 しかし、時間は、既に8:00過ぎ・・・
 今からじゃ、奥多摩駅(愛宕山)から奥多摩湖までの縦走は、いくら雪が少ないとは云ってもかなり厳しいので、奥多摩湖まで車で行って、大ブナ尾根を往復することにしよう。

 急いで山支度をして、9:00過ぎに出発。
 使用済み注射針ケースが一杯になっていたので、近所の薬局に立ち寄って、新しいケースと交換してから、奥多摩湖へ向かう。
 年度末が近いためか、あちこちで道路工事をしていて、結構時間がかかってしまった。
 愛宕トンネルを抜けて愛宕大橋交差点で信号待ちをしていると、後ろから2台の消防車がサイレンをけたたましく響かせながら追い越して行った。

 「何事だろう?」

 消防車の後を追うように、奥多摩湖を目指して走って行くと、琴浦橋のバス停に消防車と救急車が停まっていて、反対側の欄干から消防隊員や救急隊員が橋の下を覗いているのが見える。

 「一体、何があったのだろう?」

 野次馬根性を押し殺して、先を急ぐ。

 先週歩いた水根貨物線の廃線鉄橋の下をくぐって、10:10奥多摩湖に到着
 水と緑のふれあい館のトイレに寄ってから、スタート・・・
 
 ダムの堰堤を歩いて対岸に渡る。
 駐車場(ダム関係者用)や、階段上の園地に残った雪は、先週よりも少なくなっていたが、登山口から先の山道は、ここから見る限りでは、先週とあまり変わりはなさそうだ。

登山口には大した雪はない

 うっすらと積もった雪を踏みしめながら、階段をひと登りすると、頂上展望台への遊歩道を右に見送って、いよいよ登山道に踏む込む。
 暫くは雪のない落ち葉の道を淡々と登って行くが、やがて、少しずつ傾斜がきつくなり始めると雪が増えてきた。
 アイゼン無しでも歩けないわけではないが、斜度があるので、安全のために軽アイゼンを装着。
 固く締った雪面に6本爪がしっかりと効いてくれるので、スピードを落とさずスイスイ登れる。

急斜面は安全のためアイゼン装着

 急坂を登りきって雪が少なくなったところでアイゼンを外して、樹木に囲まれた尾根道を歩くこと約1時間で、サス沢山の広い山頂に着く。
 アンテナを取り囲む金網の前からは、深緑色の奥多摩湖が広がり、その向こうには、青く澄み渡った冬空の下、大菩薩嶺から黒川・鶏冠山、飛龍山といった奥多摩の山々が勇壮に連なる。
 こんなに明瞭な山岳展望は、久しぶりだ。

サス沢山からの展望は素晴らしい

 風に乗って木々の枝から舞い落ちる雪の粉が、陽の光にキラキラと輝いて、まるで、ダイヤモンドダストのように美しい。

 サス沢山から一旦少し下り、岩が露出した道を暫く登ると、広々とした防火帯の尾根となり、惣岳山に続く斜面には、それなりの雪が見える。
 先行のカップルを追い越して、雪の傾斜に取りつくと、意外とやわらかくてアイゼンは効きそうにない。
 こう云う軟雪の斜面の場合は、足裏全体を斜面に押しつけるようにして摩擦力を応用して登った方が、少し時間はかかっても、アイゼンに頼って足を取られるよりもかえって安全だ。

 後ろから追い越して行った兄んちゃんも、立派な10本爪アイゼンを履いていたが、歩き方は正に素人・・・
 雪の上に残ったアイゼンの爪痕を見ると、片効きで、10本の爪の深さが安定していない。中には6本分の痕しか残っていないような踏み跡も、ところどころに残っている。
 足裏全体で踏みしめると云う「基本」ができていない証拠だ。
 そのくせ、アイゼンに頼って雪を蹴散らして行くから、後ろから登る者には大迷惑・・・

 新しいステップを切りながら、ゆっくりと登って行くので、惣岳山山頂には予想より10分ほど遅れて到着。
 小河内峠への道を背に、御前山に向かう。
 雪の下に登山道が綺麗に整備されているのだろう。ところどころに、木の杭が頭を覗かせている。
 暫く登って行くと突然目の前に、広く裾を引く大きな富士山が姿を現す。
 しばし、我を忘れて、富士の絶景に見いってしまった。

大きく裾を広げる富士山

 「今年も登るから、待ってろよ」
 
 少し遅れて登ってきた奥さんと、お互いに、富士山をバックに記念撮影しあっていると、御前山から下ってきた男性が「写真撮りましょうか?」と云ってくれたので、二人でベンチに座って、撮ってもらうことにした。
 ・・・が、結局、この時富士山をバックに撮った写真では、明るすぎて富士山がよく見えなかった。


 御前山の広々とした山頂に着いた時には、高校生くらいの団体が20人くらいいて騒がしかったが、ザックを置いて昼食を食べ始める頃には、ぞろぞろと避難小屋方面に下り始めて、山頂は、冬山の静けさを取り戻した。

ついに1月のリベンジ(?)達成

 山頂から北西を見渡すと、東京都の最高峰雲取山が聳え、病気が発症した翌年の5月に歩いた鷹ノ巣山への石尾根縦走路が雪を被って白く続いている。
 南に目を転じると、大山から蛭ヶ岳と、丹沢の山々が、午後になって湧きだした白い雲の帯の下に黒い山肌を連ねているのが、葉を落とした木枝の間から見通せる。

 来て良かった(^^)
 昨日から続いている左脇腹の鈍痛も忘れて、山の空気を胸一杯に吸い込んだ。

 本当はもっとゆっくりしていたかったのだが、流石に冬山・・・風は無くても、じっとしていると、寒さが身体の芯まで浸み込んでくる。
 30分ほどで、山頂を後にして、来た道を引き返して、愛車の待つ奥多摩湖へ下る。

(本日のコースタイム)
奥多摩湖駐車場(10:25)---(11:45)サス沢山(11:50)---(13:10)惣岳山(13:10)---(13:35)御前山(14:00)---(14:15)惣岳山(14:15)---(15:10)サス沢山(15:10)---(16:10)奥多摩湖駐車場