人生初のリタイア2012/07/14

 14日は、夏恒例のEB主宰の富士登山の日。
 3年前から、奥さんと二人で参加するようになって、今回は、これまで登ったことのない「富士宮ルート」と云うことで、早くから楽しみにしていた。

 登山もさることながら、お世話になった皆さんとの再開も、とても嬉しいことだ。

 13日20:00ちょっと過ぎ・・・
 初参加のNさん(自分が1型糖尿病を発症した後、最初にいろいろアドバイスして頂いた)を羽村駅前に迎えに行って、いざ、富士宮へ

 いつもの通り、日の出ICから圏央道に入り、中央道、東富士五湖道を経由して、集合場所の水ヶ塚公園駐車場に向かう。

 富士山スカイラインを走っている途中、2回、道端の木々の間に鹿を見かけた。

 途中少し道を間違えたものの、22:00ちょっと前に、駐車場に無事到着
 見える範囲では十数台の車が止まっていたが、暗くて、どれがメンバーの車か特定できない。
 とりあえず、適当な場所に駐車して、主催者のSさんに、到着したことをmailで連絡する。

 トイレに行ったり着替えたりして暫く待っていると、少し離れた車から人影が近づいてくる。
 1年ぶりのSさん夫妻との再開・・・
 感動の(?)挨拶を交わした後、Sさんから「大雨注意報」が出ていることを聞かされた。

 出掛けにチェックしたウェザーニュースでは、富士地方の夜中の予想降雨量は1~2mm/h程度だったので安心しきっていたのだが、何時の間に状況が変わってしまったのだろう?

 予定より早めに5合目まで上がるか、このまま登山中止にするか?

 最終結論はメンバーが全員揃ってから出すとして、とりあえず、残りのメンバーが到着するまで仮眠すると云うので、車をメンバーの車の近くに移動させてから、我々も仮眠することにした。

 シートを倒して目を閉じようとした途端、車の屋根を叩く雨音が聴こえて来たが、今のところ、それほど強くはない。
 フロントガラスを濡らす雨粒も、さほど大きくはない。
 雨音は5分ほどで止んだ。
 「まぁ、この程度なら想定内・・・大丈夫だろう」
 と思って目を閉じて暫くすると、さっきよりは少し強めの雨が、車の屋根を叩く・・・が、それも時間は長く続かない。
 「これも想定内」
 と自分に言い聞かせて、仮眠に入る。

 1時間ほど眠って外に出て見ると、小雨が降っていた。
 トイレに行って戻って来て再びシートに横になると、急に気持ちが悪くなって冷や汗が吹き出してきた。
 急いで血糖値を測ると46・・・
 何で?
 晩飯もキチンと食べたし、いつもなら、車を運転した後は、むしろ高血糖になるのに、何で低血糖?

 急いでブドウ糖を飲んで、症状が治まるのを待ちながら、いつもとは違う体調の変化に、何かしら不安を感じた。
 ひょっとして「13日の金曜日の仏滅」効果?

 ある程度症状が落ち着いたので、一旦車から降りて、後ろの荷物から、途中コンビニで買った梅大福を出して食べながら、夜風に当たっていたら、近くに止まっていた車の窓から、3月の日Iネットシンポジウムにボランティアで参加したNさん(昨年の富士登山が初対面)の顔が見えたので、挨拶に行った。
 運転席には、一昨年、昨年とお世話になったTさんの顔も・・・

 雨が少し強くなり始めたので、再び車に戻る。
 ドアを閉めると殆ど同時に、大きなバケツをひっくり返したような雨が降り出した。

 「あちゃ~」

 暫くすれば小降りになるだろう・・・
 なんて甘い予測は見事に外れ、雨の勢いは益々強まるばかり。
 これじゃぁ、富士山どころか、100m先のタクシー乗り場までさえも行けそうもない。

 0時過ぎに、娘さんを連れて参加のKさんから、「2時まで待機して、雨が止まなければ見送る」との連絡が入る。

 確かに、この雨じゃぁね・・・

 続いて、主催者のSさんから「登山中止」の決定mail・・・

 う~ん
 山に登る予定で麓まで来ていながら、一歩も山に踏み込むことなく引き返すのは、登山歴35年にして初めての経験だ。

 この後、5合目の駐車場まで先行して登っていたメンバーが下って来るのを待って、御殿場の24時間営業の温泉施設へ向かう。
 富士山スカイラインは、まるで川のようになっていて、ところどころ、タイヤがくぼみにハマって、大きな飛沫を跳ね上げる。
 登山道が山頂まで全線開通して最初の土曜日なので、本来なら、もっと登山者がいても良いのだろうが、流石に、この大雨の中、すれ違う車はない。
 雨にタイヤをとられないように慎重に山を下り、御殿場市街に着いた時には、雨は小降りになっていたが、それでも、時折、「ザーっ」と勢いを増す。

 24時間営業の温泉施設は意外と混んでいた。
 「仮眠室が一杯なので、食堂で休んでも構わない」とのことなので、子どもを含めた総勢15名の一団は、食堂の座敷に陣取って、早速酒盛りに・・・
 (もちろん、お子さんはジュースで乾杯)

 女性陣と子どもは、1時間ほどで温泉に入って仮眠室に向かったが、男性陣は、窓の外が明るくなるまで、楽しく語り合った。
 自分は、毎回登山だけ参加しているので、みんなと飲み明かすのは初めてだったが、やっぱり、すごく良いよね・・・仲間って・・・

 もし、自分がこの病気になっていなければ、おそらく、一生顔を合わすこともなかっただろう沢山の仲間と、今、こうやって、楽しい時を過ごしている。
 これって、本当に奇跡だと思う。

 6時頃になると、流石にみんな疲れたようで、思い思いに温泉に向かう。
 外は明るくなっているが、まだ、雨は止んでいない。
 水ヶ塚公園駐車場にいる時は、ここまで来て登らないのは悔しいので、自分達だけでも朝まで待ってみようかとも思ってもいたが、この調子では、結局諦めざるを得なかっただろう。

 下山後に行く予定にしていたキャンプ場に連絡して事情を説明すると、「午前中から入っても良い」とのことだったので、9時過ぎに温泉施設を出て、BBQの買い出しをしながら、キャンプ場に向かう。
 予定があって泊まることはできないが、今日一日は時間があるので、夕方までみんなと一緒に行動することにした。

 焼き肉、焼きそば、揚げたこ焼き・・・揚げカール??
 トランプしたり、バカ話したり・・・

 登山歴35年にして、初めてのリタイアとなった山行だったが、しかし、登山とは違った充実した1日を過ごすことができた。