久々の山登り2010/05/01

ようやくたどり着いた瑞牆山頂
 1月に大岳山に登って以来、約4ヶ月間、いろいろ雑用が忙しく、山らしい山から遠ざかっていたが、折角のゴールデンウィークなので、「久々に登山に行こう」と言うことで、行き先をあれこれ見繕っていたところ、つい、数日前、屋根裏の物置で仕事の本を探している時に、たまたま古いアルバムが出てきた。
 そのアルバムには、独身時代に歩き回っていた山々の懐かしい写真が挟んであって、その中に、会社の同期のクマさんと一緒に奥秩父(金峰山から甲武信岳)を縦走した時に、富士見平下の第一ベンチ(瑞牆山荘から登山道を尾根に登り切ったところ)で瑞牆山を背景に撮った写真をみつけた。

 「そうだ、瑞牆に行こう」

 昨夜、インターネットで、中央高速の渋滞予測を調べたところ、八王子JCから相模湖東まで、早朝から午前中が渋滞する予測が出ていたので、いつもより少し早く、5時に出発することにした。

 4時半に起きて、いつもの通りおにぎりとゆで卵を作って、予定より10分遅れで出発。
 圏央道もいつもより車の量が多かったが、八王子JCでの合流もスムーズに流れていた。
 道路は混雑していたが、渋滞と言う程ではなくほとんど時速70km以上でスイスイ走れたが、PAやSAはどこも渋滞していて入れそうもないので、須玉ICまで直行する。

 須玉ICを出たのが7時10分頃
 この辺で朝食にしたいのだが、車を停められる場所がなかなか見当たらず、結局、瑞牆山荘前の駐車場まで来てしまった。
 以前、食べて直ぐ登り出したらインスリンが効き過ぎて、途中で気持ち悪くなった経験があるので、今回は、いつもの登山時より更に1単位減らすことにした。

 8時、登山口の道標前で写真を撮ってから、出発。
 最初は、雑木林の広い斜面をだらだらと登り、林道を横切って土留めの階段を登った辺りから、徐々に傾斜がきつくなるが、踏み跡がいくつもあるので、自分のペースに合わせて歩ける。
 中くらいの石がゴロゴロしている斜面を、ジグザグに登って行くと、やがて、第一ベンチに登り着く。
 ここで、これから向かう瑞牆山の岩峰に、真正面からご対面だ。
 木々の枯れ枝の向こうの大岩の連なりは、27年前と変わることなく、荒々しくも悠然と佇んでいた。

 ここから右に折れて尾根道を暫く登ると、富士見平に辿り着く。
 広いテント場には、カラフルなドーム型テントが、間を空けて5~6張りほど張ってあった。
 「連休にしては少ないな」と思ったが、昨日(4/30)は休みでない人も少なくないだろうから、多分、今日から増えるンだろうな・・・

 ここで、金峰山に向かうルートと、瑞牆山に向かうルートに分かれる。
 瑞牆山へのルートは、富士見平小屋の横を北に向かって暫く登り、飯森山の北斜面を回り込むと、やがて天鳥川に向かって下り始める。
 ここまでよりも更に岩がゴツゴツしている斜面を暫く下ると、やがて、眼下に沢の流れが見えてくる。
 天鳥川の渡渉点にはロープが張ってあり、それを伝って、大きな岩を飛び石に使って渡る。
 ・・・が、渡り終えて振り返ってみると、大岩より上流側に中くらいの岩を並べてあって、少し水に浸かるが、そちらを使っても渡れるようになっていた。

 天鳥川を渡ったところが第二ベンチで、ここから、本格的な登りとなる。
 桃太郎岩と呼ばれる巨大な岩の横に掛けられた木の梯子を登りながら、ふと、巨岩の下を見ると、何本もの木の枝が、まるで巨岩のつっかえ棒のように立てかけてある。
 そう言えば、以前、金時山に登った時も、同じような風景を見た記憶があるが、あれは何かのおまじないだろうか?
 何トン、いや、何十トンもあろうかと言う巨岩を、直径数cm~10cm、長さ数十cm程度の木の枝を何十本並べたところで支えられるとは思えない。
 何のために、わざわざ登山ルートを外れてまで、そんなことをするのだろうか?
 う~ん、やっぱり、人間の行動には、科学(理論)では説明のつかないものがあるンだなぁ。

 梯子を登りきると、そこからは、ほとんど岩の道だ。
 途中ですれ違った登山者に、頂上の様子を聞いてみると、「上の方はアイスバーンになっているので、アイゼンがあった方が良い」とのことだったが、アイゼンは持ってきていない。
 一瞬、「どうしようか?」と思ったが、まぁ、とにかく行けるところまで行ってみよう。
  大きな岩の重なりを階段にして30分ほど急登を続けると、岩の間にアイスバーンが現れ始めた。
 と言っても、この辺りはまだ岩の露出もあるし、多少凍っていても踏み跡がしっかりしているので、ゆっくり歩けば滑ることはない。
 むしろ、水に濡れた一枚岩の方が、滑りやすく注意が必要だ。
 ところどころロープも張ってあるが、下手にロープに頼ってしまうと、足元への注意が疎かになるので、ステップやホールドのとれそうなところでは、なるべく自力で登る。
 
 ところが、更に登っていくと、雪と氷はいよいよ厳しくなってきて、最後のロープ場の大きな一枚岩は完全なアイスバーンで、ツルツルだ。
 ロープに体重を預けて、脚を踏ん張ろうにも、靴底がまったく掛からない。
 自分たちより先に来ていたカップルも、アイゼンを持っていないらしく、立ち往生していた。
 自分も何度か試してみたが、アイゼンなしに、この一枚岩を登るのはかなり至難の業だし、途中まで登ってその先を見ても、同様のアイスバーンが暫く続いているようだ。
 「折角ここまで来たのに・・・」と、半ば諦めかけたが、よく見ると、問題の一枚岩より左に廻り込んだところに、岩と木の根がむき出しになった高さ2mほどの崖が見える。
 足元にはザラメ状の雪が積もっているので、靴底のエッジを効かせてステップをきれば、アイゼン無しでも行けそうだ。
 そう思って雪の上を歩き始めたところ、上から二組のパーティが降りてきた。 どちらも、アイゼンは着けていない。
 と言うことは、ここさえ乗り切れば、その先は、何とか行けそうか!?

 二組が降りるのを待って、崖を攀じる。
 むき出しの岩角に足をかけて、木の根を掴んで、思いっきり身体を引き上げる。
 崖の上にも、ザラメ状の雪が積もっているので、足場はそれほど悪くない。
 後から登ってきた奥さんを引き上げる。
 ところが、この先がまた難所だ。
 胸ほどの高さはなのだが、大きな一枚岩の上はツルツルで、さらにその上に大きな丸い岩が覆い被さるように張り出しているので、ホールドの取りようがない。
 一枚岩の端の方に、辛うじて乾いた部分があるので、そこに足をかけようと思うが、身体をひき上げるための支点にすべきホールドがどこにもない。
 あれこれ考えているところに、先ほど、下で合ったカップルの男性の方が登ってきて(どうやら、女性の方は諦めたらしい)、這うようにして、ツルツルの一枚岩を登った。
 「腹ばいになって、這うようにしたら登れましたよ」
 とコツを教えてくれたので、その通りにやってみるが、上に張り出した岩にザックが引っかかって思うように腹ばいになれない。
 すると、先ほどの男性が手を伸ばして、引っ張り上げてくれた。
 「ありがとうございます」
 後から登ってきた男性(アイゼン装着)を先に登らせて、次は、奥さんの番・・・
 自分が、上から手を伸ばして引き上げようとしたところ、奥さんの前に上ってきた男性が「アイゼンつけてるから、僕が手を貸しましょう」と言って、手伝ってくれた。
 これまた「ありがとうござます」

 登り始めて2時間45分、ついに、岩峰の頂に立った。
 青空の下には、絶景の山岳パノラマが広がっている。
 西方の目の前には八ヶ岳、その左には、北岳を中心にして南アルプス、その奥に木曾駒ケ岳や空木岳などの中央アルプスの峰々が、白い頂を連ねている。
八ヶ岳を挟んで右の奥には北アルプス北部の山並みも、遠く霞んでいる。
 更に右に目を移すと浅間山もくっきりと見える。
 また、南には雄大な富士山が聳え、左に目を転じると、目と鼻の先には、金峰山のなだらかな雪の稜線に突き出た五丈岩・・・
 我を忘れて、雄大な景色を堪能する。
 
 この素晴らしい景色を眺めながら昼食にするつもりだったが、時間が早いし、何より、先ほどのアイスバーンの下りを考えると、落ち着いてもいられない。
 お腹一杯になって、気持ちが緩んでは危ないので、とにかく、難所を下り切ってから食事にすることにして、山頂には30分ほど居ただけで下り始めた。

 ザラメ状の雪と、ほぼ2/3が雪で凍りついた鉄の梯子を慎重に下り、さて、先ほどの一枚岩をどう降りるか?
 足がかりになるものを探そうとした途端、ツルリ・・・
 足がついたところが、ちょうど岩角だったので、それ以上滑らずにすんだが、一瞬ヒヤリとした。
 上で見ていた奥さんも、少し驚いたようだったが「そんな降り方?」と、半ば呆れ気味・・・
 「わざとじゃねぇよ(心の声)」
 自分の醜態を見て、岩の上を降りるのは危険と判断した奥さんは、手近な木の幹にぶら下がるようにして降りてきた。
 どうにかこうにか、ロープ場の下まで降りてみると、何組かのパーティが休憩していて、上の方の状態を訊いてくる人もいた。
 やはり、アイゼンを持ってこなかったようなので、自分たちが採ったルートを教えた。
 
 今日最大の難所(?)を写真に収めて、下り始める。
 途中、何箇所か休憩するのに手ごろな大岩があったが、どこも先客がいたので、そのまま素通りして下り続けたが、そのうち、指先に震えが出始めた。
 「こんな(まだ、ところどころアイスバーンが残っている)ところで低血糖になったら、マズいなぁ」
 などと思いながら、しかし、手頃な休憩場所が見つからずに、結局、天鳥川渡渉点(第二ベンチ)まで下ってしまった。
 血糖値を測ると30を切っていたので、慌てて、ウィダーインゼリーを飲んで、昼食の支度を始める。
 それにしても、血糖値30を切ったのは、この1ヶ月で2回目だ。しかも、特に大きな症状も感じないままに・・・
 いよいよ、無自覚低血糖に近づいてきたのかなぁ。こりゃ、マジヤバだよ・・・
 
 昼食を終えて、富士見平まで下ってくると、朝とは違ってテント場には、所狭しと、色とりどりのテントが張られていて、若い登山客で賑わっていた。
 どうやら、学校関係の団体のようだ。
 瑞牆山荘まで下る途中でも、若い人たちとすれ違ったが、中には、学校(高校?)の山岳部のウェアを着て、大きなザック(70L程度)を背負って息を切らせながら登って来る子も何人かいた。

 午後2時25分、駐車場に到着。
 久々の本格登山は、ちょっとしたスリルも味わえて、本当に楽しかった。
 自分としては、今日は瑞牆山荘に泊まって、明日は金峰山を往復したかったのだが、奥さんは月曜に予定があって明日は帰らなければならないし、温泉にも行きたかったので、「金峰山は次回のお楽しみ」と言うことにして、山を後にした。

(本日のコースタイム)
登山口(8:00)―――(8:30)尾根〔第一ベンチ〕(8:30)―――(8:40)富士見平(8:40)―――(9:05)天鳥川渡渉点〔第二ベンチ〕(9:10)―――(10:45) 瑞牆山山頂(11:10)―――(12:30) 天鳥川渡渉点〔第二ベンチ〕(13:20)―――(13:45)富士見平(13:55)―――(14:25)登山口